諸嶽山總持寺（しょがくさんそうじじ）は、吉祥山永平寺（きちじょうさんえいへいじ）とともに曹洞宗の二大本山のひとつです。曹洞宗の太祖と呼ばれる瑩山紹瑾（けいざんじょうきん）（1264〜1325）が鎌倉時代の元亨元年（1321）に能登国にあった諸岳寺観音堂（もろおかでらかんのんどう）を禅の道場に改めた事に始まります。瑩山紹瑾の門流によって、曹洞宗の禅は全国に広がって行き、それとともに總持寺は曹洞宗の中核寺院として発展して、大本山を名乗るようになりました。明治44 年(1911) に神奈川県横浜市に移転し現在に至っています。
　本展は、總持寺が所蔵する宝物を通じて、曹洞宗の禅を紹介するものです。あわせて両禅師ゆかりの寺院からも特別出品されます。

＊展示件数７０件。一部展示替えがあります。　
　【前期展示：10 月15 日（土）〜11 月6 日（日）】
　【後期展示：11 月8 日（火）〜11 月27 日（日）】

總持寺とは…
曹洞宗（禅宗）の二大本山のひとつ。道元禅師から四世の法孫（ほうそん）にあたり、永平寺で修行した瑩山紹瑾（けいざんじょうきん）(1264〜1325) 禅師が、鎌倉時代の元亨元年（1321）に能登国鳳至郡櫛比荘（のとのくにふげんしぐんくしひしょう）（石川県輪島市）にあった、諸岳寺観音堂（もろおかでらかんのんどう）を禅の道場に改めた事に始まります。

瑩山禅師から總持寺を引き継いだ峨山韶碩（がさんじょうせき）（1276〜1366）禅師とその門流によって、曹洞宗の禅は全国に広がっていきました。そのため曹洞宗では、日本に曹洞宗の禅をもたらした道元禅師を高祖、全国に教えを広める礎となった瑩山禅師を太祖と称し、両祖を祖師として仰いでいます。 　總持寺は曹洞宗の中核寺院として発展し、室町時代には能登を領した大名である畠山氏、江戸時代には前田氏の外護を受け伽藍の整備が進められていきました。 　明治31 年(1898) 火災に遭ったのを機に、明治44年(1911)、現在の横浜市鶴見に移転再建され現在に至っています。

石川県指定文化財　《 瑩山紹瑾坐像 》 鎌倉時代、永光寺蔵

�@ 圧倒！　大法被

　總持寺では10 月に瑩山･峨山禅師（けいざん・がさんぜんじ）を供養する御両尊御征忌会（ごりょうそんごしょうきえ）を開きます。この刺繍獅子吼文大法被（ししゅうししくもんだいはっぴ）は最終日の10 月15 日ただ一日のみ掛けられ、法会のクライマックスである總持寺貫首による大問答の荘厳さを演出するものです。

（禅宗では本堂を装飾する布のことを「法被」といいます） 　縦7.3 メートル横6.7 メートルの巨大な幕を精緻かつ豪奢な金襴織りと刺繍とで作り上げており、染織品としては最大の国指定重要文化財です。 　寺外初公開であり、3 週間【前期展示：10 月15 日( 土)〜11 月6 日( 日)】という長期の展示も初めてのことです。

重要文化財　刺繍獅子吼文大法被（部分）　總持寺蔵

�A もうひとつの大本山！

　曹洞宗の寺院は全国に約15,000 ヶ寺あるなか、愛知県はその8％、1,200 ヶ寺があつまる曹洞宗王国といえます。とはいえ、高校の日本史の教科書には、曹洞宗の開祖は道元、中心寺院は永平寺とのみ記されるためか、二大本山の一方である總持寺のことは愛知県では意外と知られていません。
本展ではもうひとつの大本山の全容をご紹介します。

�B 多様な總持寺の禅文化！

　瑩山禅師（けいざんぜんじ）の禅の特徴は、道元禅師の禅に密教や民間信仰の要素を取り込んで禅の民衆化を図ったことにあります。伝来する宝物も頂相（ちんぞう）( 禅僧の肖像画）や墨跡（ぼくせき）（禅僧の書）といった禅宗美術ばかりではなく、密教や山岳信仰の仏像や、横浜移転後に納められた近代日本画など多様性に富んでいます。

�C 文化財とともに、ただ、坐る。！

　見るばかりではありません。曹洞宗の禅の特徴は「只管打坐（しかんたざ）」、ただひたすらに坐ること。会場内に坐禅スペースを設け、700 年の歴史を乗り越えてきた寺宝や歴史資料と同じ空間で、坐ることができます。また、会期中に禅僧の指導による坐禅体験会も開催します。

�C 風外コレクション、初公開。

　風外本高（ふうがいほんこう）（1779 〜 1847）は、伊勢出身の曹洞宗の僧です。三河国足助の香積寺（こうじゃくじ）に住し、教化につとめる一方、「禅画」の名手としても知られています。本展では名古屋市博物館が所蔵する風外作品のうち、選りすぐりの10 点を初公開します。

�B 多様な總持寺の禅文化！

　瑩山禅師の禅の特徴は、道元禅師の禅に密教や民間信仰の要素を取り込んで禅の民衆化を図ったことにあります。伝来する宝物も頂相( 禅僧の肖像画）や墨跡（禅僧の書）といった禅宗美術ばかりではなく、密教や山岳信仰の仏像や、横浜移転後に納められた近代日本画など多様性に富んでいます。

　名古屋市博物館　「禅の心とかたち 曹洞宗大本山總持寺の至宝」展　広報案内資料より